たづたづし又名たずたずし (新聞ラテ欄サブタイトル…「~富士見高原で殺したはずの愛人が甦った?キャリア官僚が落ちた色と欲のアリ地獄!死を呼ぶ三角関係と衝撃の結末」)、松本清張没後10年特別企画・たづたづし
農水省のエリート官僚・仙川兼作(中村雅俊)は、ある日ふとしたきっかけで平井アヤと名乗る女性(牧瀬里穂)と知り合う。奔放で開けっぴろげな性格のアヤは、兼作の日常にはない新鮮な存在だった。その不思議な魅力に惹かれ、兼作はアヤの部屋で密会を重ねていく。兼作の妻・加奈子(名取裕子)は、元農水省の事務次官を父に持つお嬢様育ちで、生真面目な性格と常識を重んじる「普通」の主婦である。兼作は、妻が望む堅実な良き夫を演じる一方で、アヤに魅了され溺れていく、まるで時計の振り子のような日々を送っていた。それは万葉集に収められている一句「夕闇は 路たづたづし 月待ちて 行かせわが背子 その間にも見ゆ」の中の、「たどたどしい」「危なっかしい」という意味を持つ「たづたづしい」状態に似ていた。兼作にはそれが心地よかった。しかし、3ヶ月を過ぎた頃、事態は一変する。アヤが結婚を迫って...