好色源平絵巻
一一五九年、日本各地で勢力を増大させつつあった源氏と平家の間に、保元・平治の乱が起こった。雪が降り積る源氏館の一室で、出陣の身仕度を整えた源氏の総大将・源義朝は、今若丸、乙若丸、牛若丸の母である常盤御所と抱き合っていた。義朝は十年前、平家の総大将・平清盛と常盤御前をめぐって鞘当てし、憎み合っていた。そして、今再び一門の意地をかけて決戦に挑むのである。平家は源氏を打ち破り、落ちのびる義朝を執拗に追った。勝利の美酒に酔う清盛は、積年の思いをはらすべく常盤を追い求める。平家の追求に疲れ果てた常盤御前は三人の子供達と、断崖から身を投げようとする。僧侶・西円は常盤御前をおしとどめた。西円の説諭で常盤は清盛の前に姿を現わし、すでに捕われの身となっていた母・関屋の助命と三人の子供の延命を願った。清盛は、源氏の直系を見のがすことに不安を感じ、母は解放したが、三人の子...