症例X又名Symptom X
痴呆の症状が進行しつつある母親を、たったひとりで在宅介護している息子。日々の家事をこなしながら、ただ黙々と母の世話をする青年の姿は、声高に吐露する以上に雄弁にその状況を語り、見る者の胸を深くえぐる。 ロカルノ国際映画祭は、常に日本映画に注目してきた。昨年は小林政広監督の「愛の予感」が金豹賞を受賞した。今年も新鋭監督部門 ( Cinéastes du présent ) で吉田光希 ( こうき ) 監督 ( 27歳 ) の「症例X」が選出され11日、公開された。 同作品は、今年の「第30回ぴあフィルムフェスティバル」で審査員特別賞を受賞し、ロカルノのアートディレクター、フレデリック・メール氏の目に留まった。2005年のロカルノ国際映画祭の審査員特別賞を受賞した「不完全なふたり」の諏訪敦彦 ( のぶひろ ) 氏に指導を仰ぐ吉田氏の5本目の作品である。