平成 熊あらし ~異常出没を追う~
夜中の軽井沢町、レストランの裏にある食材の保存庫に、熊が頭を突っ込んでいる。やがて、 パンケーキのようなものをくわえて、悠然と去っていく。固定カメラがその様子を撮り続けていた。 軽井沢を主な舞台に、3年がかりで撮影した映画「平成熊あらし~異常出没を追う~」は 今年3月に完成。今年度の文化庁映画賞の文化記録映画優秀賞を受賞した。きっかけは2006年、 全国的に熊が異常に出没したことだった。結局、この年は全国で5000頭以上が捕獲され、 約4000頭が駆除された。もっとも、熊への関心はその時始まったわけではなく、約30年前に、 秋田県の山林に住む猟師「マタギ」の熊猟を撮影したことがあった。「今回はどうして里にまで降り て害を及ぼすようになったのかを描きたかった」という。 十数年にわたって軽井沢で熊を調査しているNPO法人「ピッキオ」のメンバーが発信器をつ...