鲤鱼剧场原名:鯉のはなシアター,
東京での暮らしに疲れた奥崎愛未(あいみ)(24)は6年ぶりに故郷・広島へと戻って来た。 祖父の経営する映画館は経営難からも うすぐ閉館するという。 「万策尽きた」と諦めている人々の前にある日、東京から徳澤という男が現れる。徳澤は「昔のカープはお金がなくても知恵を絞って生き残ってきた」と、広島カープの昔話を出しながら、映画館を復興させる様々なアイデアを提案する。困惑する愛未と商店街の人々だが、時折知られざるカープの過去のエピソードに感心してしまう。 戦後、大手スポンサーを持たぬ貧乏市民球団であった広島カープは、それまで誰も考えなかったアイデアを絞り 出し、ことごとく危機を乗り越えて成長していった。時には滑稽にさえ思えるカープと広島の人々の必死の努 力の物語を愛実は知る。あの頃、原爆で何もなくなった街に出来た小さな希望が、カープだった。徳澤の無茶な提案に...