黒馬の団七又名Kuro-uma no danshichi
徳川の末期。とある峠の高原の広場に馬市場がたっていた。伯楽の為藏はその日の市に唯一の黒馬を出すことになっていたが、九郎兵衛は二束三文の値をつけ、娘おそめを馬と一緒にして借金の拾両と棒びきにしようとたくらんだ。それを知った為藏が團七親分に、意地でもそれ以上の値をつけてもらわんものと頼みこんだが、きき入れられず、いよいよ黒馬がひき出された。一両から五両まで上った。九郎兵衛の勢力におびえてだれも声をかけなくなった。突然おそめの恋人で團七の子分の彌**が六両の声をかけた。七両八両、九両、團七親分の声だった。遂に九郎兵衛と團七親分とのせり合いになった。--二拾両--團七親分のものとなった黒馬をひいての帰途の関所で、新たに若殿藤懸丹後が関所の支配格として赴任、したがって制度が改められ人一人あたま十五文の通行税、馬一頭三十文の悪税の上、團七の黒馬はやせ馬とすり代え...