人に非ず又名Quiet & Evil
小笠原諸島の父島にある観光客向けホテル・ホライズンにひとりの新人従業員がやってくる。彼は、海と山の豊かな自然に囲まれた一見のどかに見える日常生活の裏に、閉鎖的な環境からくる陰鬱な人間関係があるのを垣間見る。それは人知れず、陰惨な**の萌芽の温床となっていた。 小笠原諸島の雄大な海や山を背景として展開する、ほとんど動機を欠いたまま淡々と行われる凶行と、それらを背後に覆い隠すことでむしろいままでなかった輝きを取り戻す日常とのコントラスト。人間らしいのかそうではないのか。世界のごくごく一部に過ぎない人間の狭い基準によって立てられたその問いが、鳥、獣、虫、あるいは山や海といった、人ではないものたちの間で発せられる時、その意味をまったく変える。