ひばり捕物帖 ふり袖小判
阿部川町のお七は、吉例舞踊まつりの舞台で「鷺娘」を踊り、拍手を浴びて楽屋に戻った。お七の兄である阿部伊予守のもとを酒でしくじり、今は料亭の用心棒を勤める佐々木兵馬が、酔って楽屋を訪れた。そんな兵馬を案じたお七は、兄伊予守に兵馬の帰参を願ったがかえって意見された。翌日、藤田屋に兵馬を尋ねたが、三鈴という娘が兵馬の世話になっていることを知り飛び出した。その夜、五郎八と共に見廻りに出たお七は、女スリお花の殺しの現場に出会った。死体の近くから、太田藩の刻印を彫った一枚の小判を見つけた。同じ夜、兵馬も藤田屋をうかがう覆面の侍を見つけた。三鈴の口から、太田藩江戸屋敷詰佐久間健之進だと知った。三鈴は太田藩の**金宰領役奥田十兵衛の娘で、責を負って牢に繋がれた父の罪を晴らすべく、父が手にした唯一の手がかりである一個の印篭を持って一味を探っていたのだ。十兵衛の**は四...