蛍の宿
郵便局に勤める三枝冬子(清水美砂)の母親・すず子(岸惠子)が、冬子と妹・かおる(田畑智子)の前に2か月ぶりに姿を見せた。すず子は女だてらに航空隊の町・風の浦で遊廓を営んでおり、客と駆け落ち同然で家を出ていたのだ。すず子は店で働きたいというシズ(戸田菜穂)を連れてくる。遊廓の経営に反対する冬子は、すず子の不在中に店の女の子を故郷に帰してしまっていた。 そんなある日、店に稲垣(椎名桔平)ら航空隊の士官たちが現れ、その中には冬子の恋人・南(**太郎)もいた。南の求婚を受け入れられない理由は、過去に最愛の人とのつらい別れを経験していたからだった。本土決戦も叫ばれ始めた昭和20年3月、政次(小林薫)という男が店にやってきた。政次は冬子の実父で、朝鮮に渡る前に冬子を一目見たかったいう。やがて政次は、親子の名乗りを上げることもなく形見分けをして三枝家を出ていった。...